【 相撲字の疑問に答える 】

これは講演会の中でお話になったものを熊谷の責任で再構成したものです。

【 実演1 】 【 実演2 】 【 実演3 】 書き手比べ

質問
ご回答
與之吉さんとは?
・いつから、相撲字を書いているのですか? 昭和59年(1984)から17年間書いています。平成12年から<主任>をやらせていただいています。
・與之吉さんはどの部屋に所属してるのですか? 寺尾のいる「井筒部屋」に所属しています。番付発表前に情報が漏れないように注意しています。
用紙
・原稿はどのくらいの大きさですか?
皆さんが目に触れる番付の4倍大きさです。寸法は曲尺を使っています。
・どんな紙に書くのですか? 普通のケント紙です。
割付
・割付はどのようにするのですか?
曲尺(かねじゃく)を使います。大枠はもちろんですが、縦罫線(列)は引きますが、縦方向の文字数の差は目見当でバランスをとります。
・張り出しはこの頃無くなったのですか?
ええ、いまはありませんね。
・筆はどんなものをお使いですか? 普通の書道の筆です。半分くらいおろして、書き終わったらそのまま
がちがちにしたまま、次に使うとき下ろします。
・何本の筆で書き分けてるんですか?
7本の筆を使ってますね。
・相撲字は一筆で書くのですか? それでもいいのですが、書いた後で修正しても構いません。
塗っても構いません。黒々と太く、隙間無く見えるように修正します。
塗り文字ということです。
・細かい文字の筆はどんなものを使ってますか

序の口、序二段などは先が細くある程度腰のある<中国の筆>を使っています。

・どの部分から書き始めるのですか?
番付の左下隅に小さい字で「XX年XX月XX日発表 不許複製」とありますが、そこから書いていきます。左から右に書いていって書いた文字が汚れないようにします。
・もし、間違ってしまった書いた場合の修正はどのようにするのですか?
「肥後の守 【ひごのかみ】 」という昔からある小刀を使います。

これで削るのが一番いいですね。
削った箇所にセロファンを当て、キャップでこすると、削った箇所のザラザラが押さえられてほぼ再生されます。
・板番付はどんな格好をして書くのですか 墨がたれるので、<寝そべって>書きます。結構疲れますね。
・墨はどんなものをお使いですか? 濃い目の墨を使います。「墨の華」なんかいいですね。
でも、「開明墨汁」で十分です。適当につやがあってこれで十分です。
稽古
・研修会なんてあるんですか? 1月、5月場所のあと、行司さんに対してしています。
・研修会では、どんな文字を練習するのですか <山、川、梅、錦、花>の四股名で一番よく使われている文字でテストをします。
・なぜ<山、川、梅、錦、花>を教えるのですか?
新人の行司に教えるのですが、これらの文字には文字の要素が入っています。この5文字を基本文字としています。
工数
・仕上げるのにどの位の日数を掛けているのですか? 10日間ぐらい掛けて書きます。場所の始まる2週間前が締め切りです。
・何人で書いているのですか。 助手2人を使っています。番付の順番を間違わないように、読み合わせが大変なんです。
・番付発表まで非公開なんでしょうが、どこで書くのですか? 自宅で1人で書きます。原稿の読み合わせは、弟子2人を加えて3人でやっています。読み合わせに神経を相当使います。出身地、四股名など間違えたら大変です。
・苦労する点は?

序列、出身地、四股名の正確性に細心の注意を払っています。
たとえば、「の」の字でも、「乃」「之」「ノ」「の」といろいろあります。

出身地を間違えようものなら、後援者からお叱りがあったりします。

たとえば、貴乃花光司の「こうじ」は「ひかる→つかさ」と読んでいきます。
ですから、助手と読みあわせをする場合、一人一人確認していきます。

部数
・何部ぐらい印刷するのですか? 30万〜40万部、印刷します。
意味
・「蒙御免(ごめんこうむる)」ってどういう意味ですか?

巡業なんかして回るときに、その土地土地の勧進元(有力者)に許しを得たという意味だと理解しています。


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